「集客」と「マーケティング」は同じではありません。本記事では両者の違いをやさしく整理し、目的→ターゲット→導線→手法→計測の順で設計する考え方を解説。
さらに、SEO・検索広告・SNS・メール・ローカル検索の“実践5手法”の選び方とKPIの決め方まで、初心者でも今日から運用できる具体例付きでまとめます。
集客とマーケティングの違い

「集客」は、見込み客との接点を増やして来訪・問い合わせ・予約・購入などの行動につなげるための施策群です。
一方「マーケティング」は、商品・価格・流通・プロモーションなどを含む広い設計で、事業の価値を「誰に・何を・どう届けるか」を決める活動全体を指します。
つまり、集客はマーケティングの一部であり、設計(誰に何を)を抜きに手法だけを増やしても成果は安定しません。
違いを把握すると、目的→導線→手法→計測の順で迷わず着手でき、予算の重複や無駄な作業を減らせます。
下表のように、時間軸や評価指標も異なるため、同じ基準で比較しないことがコツです。
観点 | 集客 | マーケティング |
---|---|---|
目的 | 来訪・問い合わせ・購入の増加 | 価値設計と需要創出、利益の最大化 |
範囲 | SEO・広告・SNS・メール等の施策 | 商品設計・価格・流通・プロモーション全体 |
時間軸 | 短中期での反応獲得が中心 | 中長期のブランド・収益設計を含む |
評価 | CV・CVR・CPA等の反応指標 | LTV・利益率・継続率・市場適合 |
【混同しやすいポイント】
- 集客=広告ではありません。自然検索や口コミ、紹介も含みます。
- 施策前に「誰に・何を・なぜ良いか」を一文で言い切ると軸がぶれません。
- 短期のCVだけでなく、継続率やLTVも合わせて評価すると再現性が高まります。
- マーケ設計→価値提案とターゲットを先に決定
- 集客設計→導線と手法を適材適所で組み合わせ
- 計測→週次でKPI、月次で配分見直しを固定化
定義と活動範囲の違い
集客は「見込み客の行動を増やすための接点づくり」です。検索で見つけてもらう、SNSで知ってもらう、メールやLINEで再訪してもらう、といった具体的な接点を増やします。
マーケティングは「価値を設計し、適切な相手に、最適な方法で届ける」活動全体です。商品・価格・販売チャネル・伝え方を含み、組織の体制やサポート、購入後体験まで視野に入れます。
たとえば、価格が高すぎる・在庫が不安・返品が複雑といった要因は、いくら集客を増やしても購入率を下げます。このため、施策の前に価値提案と不安点の解消を整えることが重要です。
【用語の要点】
- 集客→接点の拡大と行動の後押し(例:記事、広告、SNS、メール)
- マーケティング→価値設計と届け方の最適化(例:商品設計、価格、販売、伝え方)
- 評価の違い→集客はCV等の反応中心、マーケは利益・継続まで含む
具体例として、ECで「送料無料の閾値」を見直すと、同じ集客でも購入単価が上がり、広告の許容CPAも拡大します。これはマーケティング側の設計改善が、集客施策の成果を押し上げる典型例です。
集客はマーケティングの一部の位置づけ
集客はマーケティングの中でも「プロモーション×導線設計」の領域に当たります。上位には価値提案(何を、誰に、なぜ)、価格と収益設計、流通や提供方法、購入後の体験があり、これらの整合が取れて初めて集客の効率が最大化します。
たとえばBtoBでは、ホワイトペーパーやウェビナーでリードを獲得(集客)し、営業プロセスやオンボーディング(マーケ設計)で成約と継続を高めます。
来店型では、Googleビジネスプロフィールや口コミの整備(集客)に加え、待ち時間や決済、再訪特典(マーケ設計)を整えることでLTVが伸びます。
【位置づけ理解で得られる効果】
- 短期指標(CV・CPA)と中長期指標(LTV・継続率)の両立が可能
- 集客の「勝ちパターン」を商品・価格・体験へ展開し再現性を向上
- やみくもなチャネル追加を避け、予算配分を合理化
- 流入至上主義→流入だけ増やしても価値設計が甘いと収益は伸びません。
- 手法の多用→チャネルを増やすほど管理コストが上がります。主軸を決めること。
- 短期評価のみ→割引でCVは伸びてもLTVが落ちる場合は再設計が必要です。
オンラインとオフラインの役割
オンラインは配信と改善のスピード、計測のしやすさが強みです。少額からテストでき、検索やSNSで関心に沿った情報を届けられます。
オフラインは地域・対面の信頼づくりに強く、体験やスタッフ対応が価値として伝わりやすい特長があります。
多くのビジネスでは、オンラインで期待を形成し、オフラインで不安を解消する組み合わせが効果的です。来店型は地図検索と口コミを整え、店頭のPOP・看板・紹介で来店率を上げます。BtoBは展示会や名刺交換を、ウェビナーや資料DLとつなげると商談化が進みます。
観点 | オンライン | オフライン |
---|---|---|
到達と速度 | 広域に即時配信・少額テストが容易 | 準備に時間が必要・接触は濃く記憶に残る |
計測 | 行動データが細かく取得可能 | 来店・紹介は計測が難しく推計が中心 |
信頼形成 | 事例・レビュー・SNSで補強 | 対面体験・接客で深い信頼を獲得 |
相性の良い商材 | 非対面購入・情報量が重要な商材 | 体験重視・商圏が限定される商材 |
【使い分けの目安】
- 商圏が狭い→GBP・口コミを最優先、店頭導線を強化
- 非対面・全国対象→SEO・広告・SNSで需要を創出しLPへ誘導
- 意思決定が長い→オンラインで情報提供→対面で不安解消の流れ
上記の役割を明確にすると、オンライン→オフライン、またはその逆の導線が滑らかになり、少ない予算でも成果が安定しやすくなります。
設計手順とチャネル選定の全体像

集客を安定させるコツは、手法から入らず「設計→実行→計測→見直し」の順で回すことです。まず最終ゴール(問い合わせ・購入・予約など)を明確にし、そこへ至る導線(読む→比較→申込)を逆算します。
次に、主要チャネル(例:SEO・検索広告・SNS・メール・ローカル検索)と補助チャネルを役割分担し、少額で同時に試し、反応が良いものへ集中します。
計測は事前準備が肝心です。UTMの命名、目標(キーイベント)の設定、フォーム送信や電話計測など、評価の物差しを先にそろえると迷いが減ります。
判断軸は、回収の早さ(短期/中長期)、到達規模、運用の手間、再現性の4点です。小さく試し、週次で指標を確認、月次で配分を見直すリズムを固定すると、限られた体制でも成果が安定します。
【チェック観点】
- 目的→導線→手法→計測の順で準備できているか
- 主要チャネル(主役)と補助チャネル(下支え)が明確か
- 中止条件・増額条件が事前に言語化されているか
- 主役2手法+再訪1手法に集中(例:SEO+検索広告+メール)
- 週次でCV・CPA・CVRを比較→勝ち施策へ再配分
- LPとCTAを共通化→勝ち要素を横展開
目的設定とターゲット明確化
最初に「何を成果とみなすか」を一文で決めます(例:月20件の問い合わせ)。次に、その成果を達成する相手(ターゲット)を具体化します。
年齢や職種だけでなく、置かれている状況、よくある不安、意思決定の基準まで言語化すると、記事テーマや広告訴求、LP構成が自然とそろいます。
小さく始める際は、目的を1つ、ターゲットも1つに絞り、仮説→配信→学びのサイクルを短く回すと効果が見えやすくなります。BtoCは「購入までの段差を減らす」工夫、BtoBは「比較材料と証拠を揃える」工夫が効きます。
項目 | 記入例 | 活用ポイント |
---|---|---|
目的 | 月間問い合わせ20件の獲得 | 必要PV・必要CVR・広告予算を逆算 |
ターゲット | 在庫管理に課題がある中小製造の担当 | 事例・比較軸・導入手順を優先掲載 |
障壁 | コスト不安・社内稟議・乗り換え負担 | 価格例・ROI試算・移行サポートで解消 |
【具体例】
- 来店型:20〜40代の近隣客→営業時間と価格の分かりやすさを優先、地図導線を強化
- SaaS:情報収集中の担当→比較表と導入事例、無料デモの導線を最短化
価値提案とペルソナの基本
価値提案(UVP)は「誰の、どんな困りごとを、何で、どれだけ良くするか」を短く言い切ることが出発点です。
代替手段(現状維持・競合・自作)よりも「早い・安い・安心」のいずれかで明確に勝てる点を一つ選び、証拠(数値・事例・口コミ)で支えます。
ペルソナは、理想の顧客像を誤解なく共有するための「設計図」です。実在の顧客データや問い合わせ履歴から作り、仮説ではなく事実に寄せると精度が上がります。
【ペルソナ記述の主な項目】
- 属性→年代・職種・地域・役割・決裁関与
- 課題→今すぐ解決したい困りごと・優先度・失敗の恐れ
- 判断軸→価格・安全性・評判・導入の手間
- 情報源→検索キーワード・よく見るSNS・信頼する媒体
- 成功の姿→導入後の状態・数値目標・社内の評価
- 対象:◯◯に悩む◯◯向け
- 効果:◯◯を◯◯まで短縮/改善
- 証拠:実測値・事例・第三者レビュー
カスタマージャーニーと導線設計
人は「認知→興味→比較→検討→行動→継続」の階段を進みます。各段階で「次に進む理由」を1つずつ提示し、迷いを減らす情報とCTA(次の一歩)を配置します。
記事→LP→フォーム→サンクス→フォロー(メール/LINE)まで、断層がない一気通貫の導線にすると離脱が減ります。
LPのファーストビューは「誰に→何が→どう良いか→次の一歩」を示し、近接して証拠(事例・数値・比較)を置くと安心感が高まります。スマホでは、指の可動域に合わせて主要CTAを画面下部に固定する設計も有効です。
段階 | 必要情報 | 推奨CTA |
---|---|---|
認知 | 何を解決できるかの一言と実例 | 関連記事へ→、短い動画→、詳細を見る |
興味 | 使い方・チェックリスト・導入の流れ | 事例を見る→、無料資料を入手 |
比較 | 価格・機能・向き不向きの明示 | 比較表をダウンロード→、FAQを見る |
検討 | 不安の解消(サポート・保証・実測値) | 無料デモ/トライアル→、相談を予約 |
行動・継続 | オンボーディング手順・再訪の動機 | 活用ガイドを見る→、レビュー投稿 |
【確認ポイント】
- 読み終わり→申込まで3手以内で到達できるか
- 各段階に対応するページとCTAが1対1で結びついているか
- サンクスページで次アクション(再訪・紹介)が提示されているか
主要チャネルの役割分担と優先順位
チャネルは「主役(獲得の柱)」「下支え(認知・再訪)」「将来検証(小規模テスト)」に分けると配分が決めやすくなります。
短期回収が必要なら検索広告や再訪配信を厚めに、中長期の土台づくりにはSEOやコンテンツを継続。来店依存はGoogleビジネスプロフィールと口コミ体験を最優先します。
体制が小規模な場合は、更新頻度を守れる手法を選び、勝ちパターンを横展開する方が成果が安定します。
チャネル | 得意領域 | 推奨ポジション |
---|---|---|
SEO/コンテンツ | 比較検討・指名検索の土台形成 | 主役(中長期)/更新継続が条件 |
検索広告 | 意図が明確な即時獲得 | 主役(短期)/LPと訴求を一致 |
ディスプレイ/動画 | 認知拡大・再訪促進 | 下支え/頻度と面の管理が鍵 |
SNS運用/広告 | 共感形成・口コミの下地づくり | 下支え→主役化は体制次第 |
メール/LINE | 再訪と育成・離脱抑止 | 下支え/オンボーディングと相性 |
GBP(ローカル) | 来店導線・営業時間周知・口コミ | 主役(来店型)/最新性を維持 |
- 回収の早さ→短期必須なら広告厚め、土台はSEOを並走
- 到達規模→商圏が狭い場合はローカルと口コミに集中
- 運用の手間→少人数は「主役2+再訪1」に絞る
主要チャネルの活用法と導線設計

主要チャネルは、それぞれの得意領域を理解した上で「役割→導線→計測」を一体で設計することが大切です。
たとえば、問題解決を探す層にはSEOと記事、今すぐ比較する層には検索広告とLP、関心を広げたい段階にはディスプレイ・動画やSNSが向きます。
導線は記事→LP→フォーム→サンクス→フォロー(メール/LINE)までを一気通貫にし、各ページで「次の一歩」を明確に示します。
スマホ中心の閲覧を前提に、見出しの要点→証拠(事例・数値)→CTAの順で近接配置すると迷いが減ります。
計測は、チャネル別の到達・クリック・CV・CPAを同じ物差しで比較し、週次のレビューでボトルネックを特定、月次で配分を見直します。
小さなテストで勝ち要素(訴求・画像・CTA文言)を見つけ、他チャネルへ横展開することで、学びの再利用と再現性が高まります。
【導線設計の原則】
- 1ページ=1目的→CTAは行動と利益を具体化(例:3分で資料DL)
- CTAの再掲→冒頭・中腹・末尾に自然な間隔で配置
- サンクスページ→関連資料・デモ・クーポンなど次の提案
段階 | 主に効くチャネル | 導線の要点 |
---|---|---|
認知 | ディスプレイ・動画・SNS | 結論先出し→ベネフィット→CTAの短尺構成 |
比較 | SEO記事・検索広告 | 価格・機能・事例をLP近接、FAQで不安解消 |
行動・継続 | メール・LINE・リターゲティング | 期限と特典を明示、再訪とレビュー依頼を同時展開 |
- 主役2(例:SEO・検索広告)+再訪1(メール/LINE)に集中
- 週次でCVR・CPAを比較→勝ち導線へ再配分
- 勝ち訴求をクリエイティブと見出しに横展開
SEOとコンテンツの基礎活用と導線設計
SEOは、検索意図に沿ったページを用意し、自然流入から継続的に見込み客を獲得する手法です。まず「聞きたいことに1対1で答える」見出し設計を行い、導入で結論→本文で理由と具体例→末尾で次の一歩という流れを固定します。
関連する記事同士を内部リンクで束ね、比較・価格・事例・FAQのLPへ自然に誘導します。
立ち上がりには時間がかかりますが、改善を重ねるほど安定し、広告に依存しない土台になります。公開後はタイトル・見出し・導入の小改修、情報の最新化、回遊の強化で伸びが期待できます。
【実装手順】
- 検索意図の把握→サジェストや関連語から質問を収集
- 記事タイプの決定→ハウツー/比較/事例/チェックリスト
- 見出し設計→質問に答える順で並べ替え、冗長表現を整理
- 導線設計→本文中と末尾でLP・資料DL・デモ予約へ誘導
- 公開後改善→タイトル差し替え・重複内容の統合・内部リンク追加
【代表KPI】
- 表示回数・平均順位・自然流入数
- 記事別の滞在・スクロール・CVR
- 内部リンク経由のLP到達とCV
- テーマが広すぎ→1記事1テーマに分割し深掘り
- 導線が弱い→本文中にもCTA、関連記事からも誘導
- 更新が止まる→週1の小改修でも継続、最新性を担保
検索広告とLP連携の設計基準
検索広告は「今すぐ比較・検討する人」に最短距離で届く手段です。成果の差は、広告文とLPの一致度、否定キーワード、地域・時間帯・デバイスの調整で生まれます。
広告文の主語(誰に)・提供価値(何が)・根拠(事例/数値)・行動(CTA)を明確にし、LPのファーストビューでも同じ順序・表現を再掲すると離脱が減ります。
はじめは成約に近い語句から小さく開始し、成果語を基準に近縁語へ拡張します。検索語句レポートで無関係ワードを否定し、品質と関連性を保ちながらCPAを最適化します。
要素 | 広告での表現 | LPでの対応 |
---|---|---|
価値提案 | 「在庫管理を最短で効率化」 | 同文を見出しで再掲+実測値の提示 |
安心材料 | 「導入◯社・満足度◯%」 | 事例・ロゴ・レビューを近接配置 |
CTA | 「3分で資料DL」 | 1画面目に同文CTA、フォーム最小化 |
【チェック項目】
- ブランド名と一般語を分割→評価と配分を明確化
- 否定キーワードの定期更新→無駄クリックを抑制
- 地域・時間・デバイス調整→意図の強い条件へ傾斜
- LP速度と可読性→スマホでの体験を最優先
ディスプレイ動画と再訪配信の基本
ディスプレイ・動画は認知拡大と再訪促進に強く、検索前の層にベネフィットを短時間で伝えられます。まずは再訪配信(過去訪問者)で効率を確保し、類似オーディエンスや興味関心の拡張で到達を広げます。
目的別に公式フォーマットへ合わせます。例えば、バンパー広告は6秒以内・スキップ不可、非スキップ可能インストリームは15秒以下。
スキップ可能インストリームは5秒後にスキップ可能で尺は可変です。プレースメントや頻度の管理でブランド毀損と無駄配信を防ぎ、再訪→LP→CVの導線を最短化します。
【活用シーン】
- 比較前の想起づくり→指名検索・直帰率の改善
- カゴ落ち・フォーム離脱の後押し→期限と特典の再提示
- 季節キャンペーン・新商品→短尺動画で訴求を統一
- 頻度上限の設定→飽和を回避しCPMの無駄を削減
- 除外リストの更新→不適切面・既存顧客を除外
- 新規と再訪を分けて評価→役割に応じたKPIで判断
SNS運用とSNS広告の使い分けの基礎
SNS運用は、日々の投稿で関心層との接点を増やし、信頼と指名検索を育てる取り組みです。テーマを3〜5本に絞り、フォーマット(画像比率・文字量・CTA位置)を固定すると継続しやすくなります。
一方、SNS広告はオーディエンスを指定して短期間で到達と行動を生みやすい手法です。まずは再訪配信(サイト訪問者向け)で効率を確保し、勝ちクリエイティブを基準に興味関心や類似拡張へ広げます。
両者を同時に使う際は、メッセージとLPの訴求を一致させ、投稿→広告→LP→資料DL(または購入)へ一本の導線を作ることが重要です。
評価は到達・保存・プロフィール遷移・リンククリックなどの中間指標と、問い合わせ・購入などの最終指標を分けて確認します。
観点 | SNS運用(オーガニック) | SNS広告(ペイド) |
---|---|---|
目的 | 信頼形成・指名検索の増加 | 短期の到達・行動の創出 |
強み | 継続でファン化・UGC誘発 | 精緻ターゲティング・速度 |
設計 | テーマ固定・投稿カレンダー | オーディエンス×訴求の組合せ |
評価 | 保存・コメント・遷移 | CV・CPA・頻度・重複到達 |
【設計の流れ】
- 目的の明確化→認知か流入かUGCかを先に決定
- 運用テーマの選定→FAQ・事例・使い方・比較・裏側
- 広告の初期配分→再訪配信→興味関心→類似の順で拡張
- 投稿で課題提起→広告で解決策とCTAを提示
- 勝ち訴求は見出し・画像・LPへ横展開
- 頻度上限と除外設定で飽和と重複配信を回避
メール配信とステップ育成設計
メールは自社でコントロールできる接点で、再訪や購入の後押しに強みがあります。登録直後の関心が高い時期に「ウェルカムシリーズ」を用意し、価値の理解→小さな体験→本行動の順で段階的に案内します。
件名は要点を短く、本文は冒頭で結論→理由→次の一歩(CTA)を提示。配信は週1〜隔週など無理のない頻度で固定し、セグメント(興味・閲覧・購入履歴)に応じて内容を出し分けます。リスト品質を保つため、ハードバウンスや長期未開封の整理も定期的に実施します。
種別 | 目的 | 主な内容 |
---|---|---|
ウェルカム | 初回理解と最初の一歩 | 自己紹介・価値の約束・チェックリスト・簡単CTA |
ナーチャリング | 比較検討の後押し | 事例・FAQ・比較表・活用ガイド・期限付き特典 |
リマインド | 未完了の解消・再訪促進 | カゴ落ち・見積り未送信・期限前案内・再購入提案 |
【運用のポイント】
- セグメント配信→関心や行動に合わせて内容を最適化
- 固定フォーマット→見出し・本文・CTAの位置を統一
- 評価→開封・クリック・CV・解除率を週次で確認
LINE公式と再訪導線の設計基準
LINEは通知が届きやすく、来店・予約・再購入など「次の行動」を促すのに適しています。
友だち追加の導線(店頭QR・サイト・購入後案内)を複数設置し、追加直後に自己紹介と基本メニュー(予約・問い合わせ・クーポン)へ誘導します。
リッチメニューは最も押してほしい3〜5項目に絞り、固定配置で迷いを減らします。
配信は全体配信とセグメント配信(興味・購入履歴・地域)を併用し、直近行動に合わせて文面と頻度を調整。来店型では前日リマインド、ECでは発送→活用ガイド→レビュー依頼の流れが効果的です。
【運用の流れ】
- 友だち追加導線の整備→店頭・サイト・購入後に設置
- 初回メッセージ→自己紹介・基本メニュー・特典案内
- セグメント配信→行動別に内容と頻度を最適化
- 計測→タップ率・予約数・再購入・ブロック率で評価
項目 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
リッチメニュー | 予約・問い合わせ・クーポン | 3〜5項目に絞る→押してほしい順に配置 |
セグメント | 興味・購入履歴・地域 | 直近行動に合わせて文面と頻度を調整 |
自動応答 | 営業時間外の一次対応 | 有人返信の時間帯と矛盾しない設定 |
- 過剰配信の回避→頻度上限と休止オプションを明示
- 導線の分散→メニュー更新で「押す場所」を明確化
- 個別対応→重要問い合わせは人が対応する時間帯を明記
ローカル検索とGBP最適化
来店・地域密着の事業では、Googleビジネスプロフィール(GBP)の整備が集客に直結します。名称・住所・電話・営業時間(NAP)の表記をサイトやSNSと完全一致させ、主カテゴリとサブカテゴリを実態に合わせて設定します。
写真は外観・内観・商品・メニュー・スタッフなど、初めてでも不安なく来店できる情報を網羅。
投稿や商品機能で季節キャンペーンや新メニューを分かりやすく提示し、予約・経路・電話の導線を3手以内で完了できるように配置します。
口コミは返信の早さと丁寧さが信頼を高め、低評価には事実確認→改善→代替案の順で対応します。
項目 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
基本情報 | NAP・営業時間・休業情報 | 表記統一→臨時変更は即時更新 |
カテゴリ | 主カテゴリ+サブカテゴリ | 実態に合う分類→不一致は表示機会減少 |
写真・動画 | 外観・内観・商品・スタッフ | 最新性と枚数→季節やレイアウト変更に追随 |
投稿・商品 | 新着・イベント・限定メニュー | 価格・期間・予約導線を明記→迷いを減らす |
口コミ対応 | お礼・改善・案内 | 迅速・誠実な返信→来店意欲の向上 |
【チェックポイント】
- 経路検索・電話・予約が3手以内で完了
- 定休日・臨時休業が最新の状態を反映
- 新商品・季節情報が写真と投稿で可視化
KPI設計と効果測定の基礎と運用の型

KPI設計は、目的から逆算して「測るべき数字」を最小限に決め、同じ物差しで比較できる土台を整えることが出発点です。
まずKGI(最終成果)を一文で定義し、そこへ到達する途中の行動をKPIとして分解します。次に、KPIを取得するためのイベント(到達・クリック・送信・完了など)を事前に設定し、UTM命名やフォーム計測のルールを統一します。
評価は週次で「変化点」を捉え、月次で予算配分を見直すリズムに固定すると迷いが減ります。短期回収が必要ならCV・CPAを重視し、中長期の土台づくりではLTVや再訪率も併せて確認します。
チャネル別の役割(主役/下支え/検証)を明確にし、勝ち要素(訴求・画像・CTA文言)を横展開することで、学びの再利用と再現性が高まります。
【基本ステップ】
- KGIの明文化→何を成果とみなすかを統一
- KPIの分解→到達・クリック・CVR・CPA・LTVを設定
- 計測準備→イベント・UTM・フォーム計測を整備
- レビュー運用→週次で指標、月次で配分を見直し
目的 | KGI例 | 主なKPI例 |
---|---|---|
問い合わせ増 | 月間問い合わせ◯件 | LP到達・フォーム着手・送信・電話計測・CVR・CPA |
EC売上増 | 月間売上◯円 | 商品到達・カゴ投入・決済完了・客単価・再購入率・LTV |
来店促進 | 予約/来店◯件 | 経路検索・電話・予約完了・口コミ数・再来店率 |
- 成果の定義→問い合わせ/購入/予約など
- 帰属ルール→同一ユーザーの重複計測をどう扱うか
- 期間の区切り→週次集計の起点と月次締め日
KGIとKPIの設計と定義の基本
KGIは「最終的に達成したい状態」を表し、KPIは「そこへ至る途中の行動」を示す指標です。KGIを先に決めると、必要なKPIが自然に決まります。
例えばBtoBならKGI=受注件数、KPI=資料DL→商談化→成約の各率や件数。ECならKGI=売上、KPI=セッション→商品到達→カゴ投入→購入完了の各CVRと客単価です。
定義を曖昧にすると議論が噛み合いません。フォーム送信を「CV」と呼ぶのか「問い合わせ到達」をCVとするのか、チーム内で用語を統一しましょう。
【用語の整理】
用語 | 定義(実務での使い方) |
---|---|
KGI | 最終成果(受注件数/売上/予約数など)。経営・事業のゴール。 |
KPI | KGIへつながる中間指標(到達・クリック・CVR・CPA・再訪率など)。 |
イベント | 計測単位(例:LP到達、フォーム送信、電話発信、予約完了)。 |
定義の範囲 | 対象期間・対象チャネル・重複の扱いを事前に取り決め。 |
【設計のコツ】
- KGIは1つに絞る→複数ある場合は優先順位を明確化
- KPIは「因果で結べる」指標を選ぶ→改善の打ち手が見える
- 定義ドキュメントを作成→新メンバーでも同じ評価が可能
CVRとCPAとLTVの評価基準
CVR・CPA・LTVは配分判断の中核です。CVRは「訪問から成果への転換率」、CPAは「1件あたりの獲得コスト」、LTVは「顧客が生む累計の粗利貢献」を示します。
ECの例では、平均購入単価5,000円・粗利率50%・平均購入回数2回なら、LTVの粗利は5,000×0.5×2=5,000円。
目標CPAはこの粗利と運用費を踏まえて設定します。BtoBの高単価商材では、初回で回収せず中期でLTVを高める前提が現実的です。
評価は短期と中長期を分け、短期はCPA、長期はLTVと解約率で健全性を確かめます。数式よりも「意思決定に使える比較」が重要です。同一の定義でチャネル別に並べ、勝ち導線へ再配分します。
【指標の見方】
- CVR→ページやフォームの改善余地を示す。セグメント別に確認。
- CPA→媒体・訴求・時間帯で分解し、無駄を特定。
- LTV→再購入・アップセル・継続率の改善余地を示す。
- 短期回収が必須→CVR改善とCPA最適化に集中
- 成長投資を許容→LTV改善(オンボーディング・活用支援)に配分
- CVRが頭打ち→訴求変更・価格表示・保証・比較情報を強化
ダッシュボードと週次月次運用の基本
ダッシュボードは「意思決定を速くする最小セット」を揃えるのが目的です。チャネル横断で、到達・クリック・CV・CVR・CPA・LTVを同じ並びで表示し、週次は異常検知、月次は配分見直しに使います。
関係者は毎週同じ曜日・同じ時間に短いレビューを行い、仮説→施策→結果→次の仮説を1枚に残します。数が多すぎる指標は行動を鈍らせます。
まずは「成果へ最も効く3指標」に絞り、必要に応じて深掘り用の詳細タブを追加します。スマホ体験やページ速度など、体験に直結する指標も加えると改善点が見つかりやすくなります。
期間 | 目的 | 見る指標 |
---|---|---|
週次 | 異常・変化の早期検知 | 到達・クリック・CV・CVR・CPAの推移、主要LPの速度 |
月次 | 配分の見直しと方針決定 | チャネル別CV・CPA・LTV、勝ち訴求、改善の学び |
- 先週の数値→想定との差→原因仮説を一言で共有
- 今週の打ち手→1〜2件に絞り担当と期限を明確化
- 学びの横展開→勝ち要素を他ページ・他媒体に適用
アトリビューションと配分見直しの指針
アトリビューションは「成果をどの接点にどの割合で帰属させるか」の考え方です。ラストクリックだけで判断すると、認知や比較段階で効いている施策の価値が見えにくくなります。
小規模体制では、まずラストクリックを基準にしつつ、補助指標として「アシストCV」「再訪率」「指名検索の増加」も併せて確認する方法が実用的です。
配分見直しは、短期(CPA)と中長期(LTV・指名)の2軸で評価し、役割の重複や飽和(頻度過多)を避けます。
【見直しの流れ】
- 役割の確認→主役/下支え/検証の分類を更新
- 短期評価→CPAが悪化した要因を分解(訴求・面・時間帯など)
- 中長期評価→指名検索・再訪・LTVの推移を確認
- 再配分→勝ち導線へ増額、飽和チャネルを縮小
【注意点】
- モデルの複雑化は最小限→運用できる粒度に留める
- 一時的な季節要因を過大評価しない→3か月平均でも確認
- 評価変更の前に定義を固定→比較可能性を維持
上記を習慣化すれば、限られた予算でも「学びの速度」を高め、継続的な最適化が実現しやすくなります。
まとめ
集客はマーケティング全体の一部です。まずゴールを定め、だれに何をどう伝えるかを一文で言い切り、導線と主要チャネル(SEO/検索広告/SNS/メール/ローカル)を役割分担します。
指標はKGI→KPIへ分解し、週次で数値確認→月次で配分見直し。小さく試し、学びを横展開することで、ムダを抑えて成果を安定化できます。