Googleアカウントの引き継ぎができない原因を、やさしく体系化。
アカウント統合不可の前提、端末乗り換えの流れ(バックアップ→復元)、2段階認証・Authenticatorの注意、データ別の移行可否、Workspace/Family Linkの要点までを短時間で把握。やり直し防止と安全移行に役立つ指南。
目次
引き継ぎの意味と基本仕様のやさしい整理

「引き継ぎできない」という悩みは、実は複数の概念が混ざっていることが原因になりがちです。Google では、異なる Google アカウント同士を統合(合体)することはできません。
目的別に、各サービスの正規手順(共有/エクスポート・インポート/所有者変更など)を選ぶのが前提です。一方で、同じアカウントで新しい端末へ“引っ越し”すること(ログイン+バックアップ復元)や、各サービスの機能を使って“データを移す/共有する”ことは可能です。
まずは「アカウント(身分証)」「端末(入れ物)」「サービスごとのデータ(中身)」の区別を押さえると、どこでつまずいているかが見えやすくなります。
例として、Gmailは同じアカウントでログインすればメールにアクセスできますが、スマホのSMSや端末設定、アプリの細かなデータはバックアップ設定を有効にしないと新端末に復元されません。
認証(2段階認証やパスキー)も、事前に準備しておかないとログインの入口で止まることがあります。用語と仕組みをやさしく分解し、「何を」「どの方法で」引き継ぐのかを整理することが、最短の解決につながります。
- アカウントの合体は不可→同一アカウントの継続利用が基本
- 端末の引っ越しはバックアップ→復元が軸
- データ移動はサービス単位→写真・連絡先などで手段が異なる
異なるアカウント統合は不可という原則
Googleでは、たとえば「aaa@gmail.com」と「bbb@gmail.com」を1つにまとめる“統合”はできません。これは、セキュリティと整合性を守るための設計です。
そのため、過去のメール・ドライブ・フォト等を「別アカウントに丸ごと引き継ぐ」という発想ではなく、「必要なデータを、各サービスの正規の方法で移す・共有する」という発想に切り替えましょう。
具体例として、メールは同じアカウントでログインすればそのまま使えますし、別アカウントへまとめたい場合は転送や移動の設定を使う形になります。
連絡先やカレンダーは、エクスポート/インポートや同期の設定で移せます。重要なのは、「アカウント自体は別のものに変えられない」点を前提に、目的(例:端末変更、整理、共有)ごとに適切な機能を選ぶことです。無理に統合を試みると、権限や所有者、共有範囲などの管理が複雑化し、かえってリスクが高まります。
- 別アカウントへの“アカウント合体”や“丸ごと引き継ぎ”は不可
- ログインIDの変更=過去データの自動移動ではない
- 所有者・共有・公開範囲はサービスごとに別管理
データはサービス単位で移動する原則の理解
引き継ぎは「サービス単位」で考えるのが基本です。写真はフォト、ファイルはドライブ、連絡先は連絡先、予定はカレンダー……というように、データの保管場所と提供機能が違います。
同じアカウントで端末を変えるなら、各サービスの同期やバックアップを有効にしておけば、ログイン後に自動で再取得されるものが多くあります。
一方、別のアカウントへデータを移したい場合は、エクスポート/インポート、共有、コピー作成など“公式に用意された手段”を使います。どのデータを、どこからどこへ、どの方式で移すのかを書き出すと、作業ミスを減らせます。
データ例 | 代表的な移動・共有の考え方 |
---|---|
連絡先/予定 | アカウント同期で引き継ぎ。別アカウントへはエクスポート→インポート |
写真・動画 | フォトのバックアップ・同期を有効化。必要に応じて共有アルバム等を活用 |
ファイル | ドライブで共有やコピーを作成。所有者や権限に注意 |
アプリ関連 | アプリ側の引き継ぎ機能やサインイン方式に従う(仕様差あり) |
【確認ポイント】
- 同一アカウントで端末変更→同期/バックアップの設定を見直す
- 別アカウントへ移動→各サービスの正規手順(エクスポート等)を選ぶ
ログインだけでは移行完了とならない仕様
新しい端末でGoogleにログインしても、すべてが自動で元に戻るわけではありません。クラウドに保存・同期されているデータは再取得されますが、端末固有の情報(SMS、通話履歴、一部のアプリ設定、ホーム画面配置など)は、バックアップを有効にしていなければ復元されません。
また、2段階認証やパスキーを設定している場合、旧端末の認証アプリや生体情報が手元にないとログインの途中で止まることがあります。
移行前に、バックアップの実行状況と認証手段(Authenticatorのエクスポート、バックアップコードの保管など)を確認しておくと安心です。
通信環境(Wi-Fi)や端末の空き容量も重要で、途中で容量不足になると復元が中断されます。ログインは“入口”に過ぎず、「バックアップ→復元」「認証の事前準備」「通信と容量の確保」を整えてこそ、スムーズな引き継ぎになります。
【不足しがちな準備の例】
- バックアップがオフのまま→端末固有データが復元されない
- Authenticator未移行→2段階認証でログイン停止
- Wi-Fi未確保・容量不足→途中で復元が中断
端末乗り換え時の移行フロー全体像

端末乗り換えで迷いやすいのは、「どの順番で何をするか」が見えないことです。基本は、旧端末でバックアップを最新化→新端末を初期セットアップ→同じGoogleアカウントでログイン→復元と同期→動作確認、という流れです。
ここで大切なのは、クラウドに保存されるデータ(連絡先・カレンダー・写真・ドライブなど)と、端末側に保存されやすいデータ(SMSや通話履歴、一部アプリの設定など)を分けて考えることです。
前者はログイン後に自動で同期される一方、後者はバックアップ設定がオフだと新端末に戻りません。さらに、二段階認証やパスキー、認証アプリの移行を事前に整えておくと、ログインで止まるリスクを減らせます。
通信は安定したWi-Fi、電源は十分なバッテリーか充電しながらの作業が安心です。最後に、復元後の確認(写真が表示されるか、連絡先が入っているか、重要アプリにサインインできるか)までが一連のフローです。
フェーズ | やること | ポイント |
---|---|---|
準備 | バックアップの最新化/認証手段の確認/OS更新/空き容量とWi-Fi確保 | 認証アプリやバックアップコードを手元に用意→ログイン詰まり防止 |
移行 | 新端末の初期セットアップ→同じアカウントでログイン→復元開始 | 時間に余裕を確保→大容量の写真・動画は時間がかかる |
確認 | 写真・連絡先・アプリのサインインや通知の動作確認 | 不足分は手動同期/エクスポート・インポートで補う |
- 旧端末でバックアップ→新端末でログイン→復元→確認の順番
- クラウド同期データと端末固有データを分けて考える
- 認証手段・Wi-Fi・電源・空き容量を事前に整える
バックアップ→復元という基本手順の理解
バックアップ→復元は、端末乗り換えの“土台”です。まず旧端末でバックアップが有効か、直近で実行されているかを確認します。
写真や動画はクラウドのバックアップと同期、連絡先やカレンダーはアカウント同期、SMSや通話履歴、ホーム画面の配置などは端末のバックアップ対象かを見直します。次に新端末側では、初期セットアップの途中で同じGoogleアカウントでサインインし、指示に従って復元を選びます。
復元はデータ量により時間差が生じるため、Wi-Fi接続と十分なバッテリーが必要です。復元後は、重要アプリに個別でサインインして設定を引き継ぎます。
通知が来ない、写真が表示されないなどの症状は、同期がオフになっている、あるいは電池最適化でバックグラウンド通信が制限されているケースが多いです。問題が残る場合は手動同期や再サインイン、該当サービスのエクスポート・インポートで補うと解決につながります。
【基本手順(概要)】
- 旧端末でバックアップと同期を最新化→写真・連絡先・カレンダーの状態確認
- 新端末を初期セットアップ→同じアカウントでログイン→復元を選択
- 各アプリにサインイン→通知・データ表示・通話履歴などを確認
【よくあるつまずき】
- バックアップが古い→最新の変更が復元されない
- 写真のバックアップ未完了→表示されない/低解像度のまま
- 電池最適化が強すぎる→同期や通知が遅延
Android間とiPhone移行の違い
Android→Androidは同じGoogleアカウントを前提に、バックアップと同期で広い範囲のデータを再取得しやすい設計です。
一方、iPhone→AndroidはOSが異なるため、移行の方法と範囲がサービスごとに異なります。連絡先やメール、カレンダーは各サービスの同期設定で対応できますが、アプリの購入情報やアプリ内データは移せない、もしくは各アプリの手順が必要になることがあります。
写真・動画はクラウド経由が安全で、端末直結のコピーは容量と時間の管理が重要です。いずれのケースでも、二段階認証や認証アプリの扱いを事前に整えておくと、サインインで止まるリスクを抑えられます。
項目 | Android→Android | iPhone→Android |
---|---|---|
移行方式 | バックアップと同期/ケーブルまたはWi-Fiで移行 | 移行アシスタントやクラウド同期を併用 |
移せる代表例 | 連絡先・カレンダー・写真・ドライブ等のクラウドデータ | メール・連絡先・カレンダー・写真(クラウド経由) |
個別対応の例 | アプリ内データ・おサイフ系・一部メッセージ | アプリ購入情報・一部アプリデータ・メッセージ系 |
注意点 | 同一アカウント前提/バックアップの最新化 | 移行不可の領域あり→各サービスの手順を確認 |
【注意点】
- アプリや課金情報はOS間で互換がない場合あり→各アプリの手順で対応
- 写真はクラウド同期が安全→容量と時間に余裕を確保
- 認証手段は事前に整備→サインイン停止を回避
Wi-Fiと空き容量など事前準備の要点
移行の成功は、事前準備でほぼ決まります。まずWi-Fiは安定した回線を選び、速度が出ない環境では復元が長引きやすい点に注意します。
端末の空き容量は、写真・動画・アプリ更新分を見込んで十分に確保します。容量不足は復元の中断やアプリの再配置失敗につながります。
電源はフル充電、または充電しながらの作業が安心です。旧端末ではバックアップの実行と結果を確認し、新端末ではOS更新とアプリ更新を先に済ませると、同期エラーを減らせます。
二段階認証のバックアップコード、認証アプリのエクスポート情報、主要サービスのパスワードを手元に用意しておくと、ログイン詰まりを回避できます。通知が来ない場合は電池最適化やデータセーバーを一時的に緩め、同期の再実行で改善することが多いです。
【準備チェック】
- 安定したWi-Fi→速度と通信品質を事前確認
- 十分な空き容量→写真・動画・アプリ分を上乗せで確保
- 電源と時間→充電しながら、余裕ある時間帯に実施
- 認証とパスワード→バックアップコードや認証アプリを準備
- 通信不安定→復元中断やデータ欠落の原因
- 容量不足→写真やアプリが復元されない可能性
- 認証手段不備→ログインできず作業が進まない
引き継ぎ不可に見えやすい認証関連の要点

「引き継ぎできない」と感じる場面の多くは、実はデータではなく“認証”で止まっているケースです。Googleアカウントのサインインは、パスワードに加えて二段階認証やパスキーなどの“二番目の確認”が必要になることがあります。
旧端末に認証アプリや端末通知を残したまま機種変更すると、新端末でコードを受け取れず入口で詰まりやすくなります。
まずは、どの方法で二番目の確認を行っているのかを把握し、方法を複数用意しておくのが安全です。代表例は、端末へのログイン通知、Authenticator(認証アプリ)のコード、バックアップコード、物理セキュリティキー、SMS/音声通話コード、そしてパスキーです。
組織アカウントや子ども用アカウントでは、管理ポリシーにより利用できる方法が制限されることもあります。乗り換え前に認証手段を整理し、旧端末の退役前に移行と動作確認まで済ませることをおすすめします。
- 旧端末で二段階認証の方法を確認→複数の方法を有効化
- Authenticatorは新端末へエクスポート→読み取り後に動作確認
- バックアップコードを生成→オフラインで安全保管
二段階認証とパスキー設定の事前確認項目
二段階認証は、パスワードだけでは守れない場面を防ぐ「保険」です。端末通知、認証アプリ、バックアップコード、セキュリティキー、SMS/音声、パスキーのうち、自分がどれを使っているかを明確にし、少なくとも二つは使える状態にしておくと安心です。
パスキーは生体認証や画面ロックと連動した“パスワードに代わる鍵”で、対応端末やブラウザでは非常にスムーズにサインインできます。
機種変更前に、画面ロック(PIN/パターン/生体認証)の設定を見直し、パスキーが新端末でも利用できるかを確認しましょう。
端末通知は、旧端末が手元にないと承認できません。SMSは回線や番号変更の影響を受けるため、番号が変わる場合は他の方法を用意します。組織アカウントでは管理者の設定に従う必要があります。
【チェック項目】
- 二段階認証の方法を複数有効化→片方が使えなくても継続可
- 端末通知の受け取り端末→新端末で受信できるか確認
- パスキーの有効化→画面ロック/生体認証の設定を事前整備
- 電話番号変更予定→SMS依存を避け、別手段を準備
- 組織アカウント・子ども用→管理ポリシーの制約を事前確認
Authenticatorのエクスポートと復元手順
Authenticator(認証アプリ)を使っている場合は、旧端末から新端末へ“エクスポート→インポート”で移行します。基本的には、旧端末のアプリで移行対象のアカウントを選び、表示されたQRコードを新端末のアプリで読み取ります。
読み取り後、各サービスで一度サインインして新端末のコードで通るかを確認し、問題がなければ旧端末側のエントリを削除します。
複数アカウントを管理している場合は、まとめてエクスポートできることがありますが、重要なものから順に移して動作確認を挟むと安全です。
時刻ズレがあるとコードが通らないため、新旧端末の時刻設定は自動にしておきます。旧端末を紛失した場合は、バックアップコードや別の二段階認証方法でログインし、Authenticatorの再設定に進む流れになります。
【手順(概要)】
- 旧端末のAuthenticatorでエクスポートを開始→対象を選択
- 新端末のAuthenticatorでインポート→QRコードを読み取り
- 主要サービスにサインイン→新端末のコードで通るか確認
- 新端末で認証成功を確認→その後に旧端末のエントリを削除
- 端末の時刻設定は自動→時刻ズレによる失敗を防止
- 紛失時はバックアップコードや他手段で回復→再設定へ
バックアップコードの安全保管と活用方法
バックアップコードは、二段階認証が使えない非常時に備える“合鍵”です。一定数のコードが発行され、1つを1回だけ使用できます。
機種変更や紛失、海外出張などでSMSや端末通知が使えない場面でも、バックアップコードがあればログインを続行できます。
発行後はオフラインで保管できる形にして、第三者の目に触れない場所に保管しましょう。画像のままクラウドに置くと漏えいリスクが上がるため、印刷や手書きメモなどの物理保管が安心です。
使用済みのコードは失効するため、余ったコードはそのまま保管し、必要に応じて新しいセットを再発行します。家族やチームで共有する必要がある場合でも、むやみに複製せず、必要最小限に留めます。
【扱いのコツ】
- 発行→印刷や紙に控えてオフライン保管
- 使用→1コード1回→使ったら破棄
- 更新→端末入れ替え後は新セットを作成して差し替え
- 秘匿→写真や共有ドライブへの保存は避ける
- クラウドに画像保存→漏えいリスク↑→物理保管へ切り替え
- 全コードを同じ場所に保管→分散保管で紛失・盗難に備える
- 古いコードを使い回し→再発行して最新のセットに更新
データ別の移行可否と扱いの早見表

端末乗り換えやアカウント整理では、「どのデータが自動で戻るのか」「別アカウントへはどう移すのか」を分けて考えることが大切です。
基本は、同一のGoogleアカウントであれば、連絡先・カレンダー・写真・ドライブなどクラウドと同期しているデータはログイン後に再取得されます。
一方、端末固有の情報(SMS、通話履歴、ホーム画面配置など)は、端末のバックアップが有効でないと復元されません。
さらに、別アカウントへ“まとめて引き継ぐ”ことはできないため、必要に応じて各サービスの正規の手順(共有、エクスポート/インポート、コピー作成)を使います。
下の早見表では、「同一アカウントで端末変更」と「別アカウントへ移す」場合の基本的な考え方を整理しました。
迷ったときは、データの保管場所(フォト/ドライブ/連絡先など)と、移動に使える公式機能の組み合わせで判断すると、手戻りを防ぎやすくなります。
データ種別 | 同一アカウントで端末変更(復元・同期) | 別アカウントへ移す場合の考え方 |
---|---|---|
連絡先 | アカウント同期で自動再取得。端末側に保存のみの場合は要バックアップ | エクスポート→インポート。共有で閲覧権限付与も可 |
カレンダー | アカウント追加で予定が同期。通知や色分けは再設定の可能性 | カレンダー共有/エクスポートで移管。所有者・権限を確認 |
写真・動画 | フォトのバックアップ有効で自動再取得。時間とWi-Fiが必要 | 共有アルバム/リンク共有/エクスポートで移動。容量に注意 |
ドライブのファイル | ログインで表示可。オフライン設定は再構成 | 共有や「コピーを作成」で移行。所有者・権限の扱いに注意 |
SMS・通話履歴 | 端末バックアップ対象。無効だと復元不可 | 原則アカウント間移行は不可。エクスポート対応アプリで代替 |
端末設定・ホーム画面 | 端末バックアップで復元。完全一致は環境に依存 | アカウント間移行は不可。新環境で再設定 |
アプリ・ゲーム | 再インストール後に各サービスへサインイン。アプリ次第 | 購入や進行状況は仕様差大。各アプリの手順・連携で対応 |
決済・おサイフ系 | 発行元手順で機種変更手続き→新端末で受け取り | 発行元・国・端末で条件差。正規の引き継ぎ手順を要確認 |
- 同一アカウント→同期・バックアップで“戻す”発想
- 別アカウント→共有・エクスポート/インポートで“移す”発想
- 端末固有データ→事前の端末バックアップが前提
連絡先・カレンダー・設定の扱いと要点
連絡先とカレンダーは、基本的にアカウント同期で引き継がれます。旧端末で同期が有効になっていれば、新端末で同じGoogleアカウントにログインするだけで再取得できます。
端末側にのみ保存していた連絡先(「端末」や「SIM」に保存)は同期の対象外になりやすいため、移行前に「Googleアカウントへ移動」またはエクスポート/インポートで整えておくと安心です。
カレンダーは、複数カレンダーの表示設定や通知音など、端末ごとのカスタムが再設定になることがあります。端末設定(Wi-Fi、壁紙、アプリ配置など)は、端末バックアップの対象であれば復元されますが、完全一致は機種やOSバージョンに依存します。
まずは「同期が有効か」「端末保存になっていないか」「バックアップが成功しているか」を確認し、復元後に通知・表示・カラーなどの微調整を行う流れが効率的です。
別アカウントにデータを移す場合は、連絡先はエクスポート→インポート、カレンダーは共有やエクスポートで移行します。所有者や権限設定を変えると表示や編集が変わるため、必要最小限の権限から始めると安全です。
【確認ポイント】
- 連絡先・予定は同期先を「Googleアカウント」に統一
- 「端末」「SIM」保存の連絡先は事前に移動またはエクスポート
- 端末設定の復元はバックアップ依存→完全一致は期待しすぎない
- 別アカウント移行は共有/エクスポートで正規対応
写真・動画・ファイルの移行手段の整理
写真・動画は、クラウドバックアップを有効にしておくと新端末で自動的に再取得されます。大量データは時間がかかるため、安定したWi-Fiと十分なバッテリーを用意し、復元中はアプリを開いたままにして進行状況を確認すると確実です。
別アカウントへ渡す場合は、共有アルバムやリンク共有が安全で、受け手側で必要なものだけを保存できます。
ドライブのファイルは、同一アカウントならログインで即アクセス可能ですが、オフライン利用やショートカット、特定フォルダの同期は再設定が必要です。
別アカウントへは共有や「コピーを作成」で移せますが、所有者や編集権限が変わると動作が変わることがあるため、まずは閲覧共有→動作確認→必要に応じて所有者移管、の順が無難です。
USBケーブルや外部ストレージでの直接コピーは、回線に左右されない反面、フォルダ構成の崩れや重複が起こりやすいので、フォルダ単位の計画と整頓を心がけてください。
復元後にサムネイルが表示されない、低解像度のままなどの症状は、バックアップ未完了や省データ設定が原因のことが多く、アプリの同期設定と電池最適化の解除で改善します。
【移行手段の整理】
- 同一アカウント→クラウド同期で自動再取得(Wi-Fi・時間・電源を確保)
- 別アカウント→共有アルバム/リンク共有→必要に応じて保存
- ドライブ→共有/コピー作成で移行。所有者・権限を段階的に調整
- 物理コピー→構成崩れ・重複に注意。計画的なフォルダ運用
- バックアップ未完了→新端末で一部が表示されない
- 省データ・電池最適化→同期停止や低解像度のまま
- 所有者変更の影響→リンク切れ・編集不可などの想定外
アプリ・ゲーム・おサイフの個別対応整理
アプリやゲームは、同じアカウントで再インストール後に各サービスへサインインする形が基本です。ログイン型サービス(SNSやサブスク、クラウド連携アプリ)は、ID/パスワードや二段階認証が整っていれば、設定やデータがサーバー側から復元されます。
一方、アプリ内部にのみ保存されるデータや、ゲームの進行状況・課金履歴は、アプリ提供元の仕様に依存します。引き継ぎコード、アカウント連携(メール・電話番号・SNS・ゲームプラットフォーム)など、公式の手順を必ず確認してください。
OSが異なる場合(iPhone→Androidなど)は、購入情報や一部のセーブデータが移行できないことがあります。おサイフ・決済系は、発行元の機種変更手順で旧端末から“サーバー退避”→新端末で“受け取り”が一般的です。
端末や地域、発行元の条件で手順が変わるため、旧端末が使えるうちに手続きと動作確認を終えると安全です。店舗や窓口での作業が必要なサービスもあるため、日程に余裕を持ち、必要書類や本人確認手段を事前に準備しましょう。
【個別対応で注意したい点】
- ログイン型はサインイン準備→二段階認証・パスキーの事前整備
- ゲームは公式の引き継ぎ方法に従う→連携先・引き継ぎコードの確認
- OS跨ぎは非互換に留意→購入・セーブは移行不可の可能性
- おサイフは発行元手順→旧端末で退避→新端末で受け取り
組織アカウントと子ども用の注意点

個人向けのGoogleアカウントと異なり、Google Workspace(組織アカウント)やFamily Link(子ども用アカウント)は、管理ポリシーや年齢制限により挙動が大きく変わります。
端末乗り換え時に「引き継ぎできない」と感じる多くのケースは、実は管理者や保護者の設定により、サインイン方法やデータの扱い、アプリ連携、共有範囲が制限されていることが原因です。
まずは自分のアカウントがどの区分かを確認し、その区分に固有の前提条件を押さえることが近道です。特にWorkspaceでは、二段階認証の必須化や外部共有の制限、Google Takeoutの利用可否、端末の管理ルールなどが影響します。
Family Linkでは、新端末へのサインイン承認、アプリの年齢レーティング、課金や位置情報、画面時間の管理が関係します。
さらに高度な保護プログラム適用中は、セキュリティキーやパスキーなどの強い本人確認が前提となり、アカウント復旧手続きも厳格です。下表で全体像をつかみ、後続の見出しで具体的な確認ポイントを整理します。
対象 | 主な特徴 | 移行時の注意 |
---|---|---|
Workspace | 管理者ポリシーで認証・共有・アプリ連携を制御 | 外部共有や所有権移転に制限→管理者承認や社内手順を確認 |
Family Link | 保護者がサインイン・アプリ・課金等を管理 | 新端末で保護者承認が必要→承認ルートと時間を確保 |
高度な保護 | 強固な認証と限定的なアプリアクセス | セキュリティキー/パスキー必須→事前に複数手段を準備 |
- アカウント区分(個人/Workspace/Family Link/高度な保護)
- 管理者・保護者の承認が必要な操作の有無と手順
- 二段階認証・パスキー・セキュリティキーの準備状況
Workspaceの管理ポリシー差の理解
Workspaceは、組織の管理者がポリシーを設定します。二段階認証の必須化、特定の端末のみ許可、社外との共有制限、OAuth連携の制御、IMAP/POPの無効化、Google Takeoutの利用制限などが代表例です。
これらは安全性を高める一方で、個人アカウントの感覚で移行すると「引き継げない」と感じやすくなります。Driveファイルの所有権は、原則として組織内での移転に限られ、組織外の個人アカウントへ移せないケースが一般的です。
新端末のサインインや会社支給端末の登録は、デバイス管理の承認が必要な場合があり、未承認だと同期や企業データの復元が止まります。
まずは社内ポータルやヘルプデスクで、移行に必要な承認手順と利用可能なツール(データ移行ツール、連絡先・カレンダーの共有方法、代替のファイル共有手順)を確認しましょう。承認が必要な操作は、業務時間内に担当者が対応できるよう、余裕のある日程で計画するのが安全です。
【確認項目】
- 二段階認証の方式→セキュリティキー必須やパスキー許可の有無
- Driveの外部共有・所有権移転→組織外へ不可の可能性
- TakeoutやIMAP/POP→無効化の有無と社内の代替手段
- 端末管理→新端末登録・承認の要否と申請ルート
- 外部アカウントへ所有権移転不可→組織内ユーザーへ移転→必要に応じて共有
- Takeout不可→管理者提供の移行手段を利用→事前申請を計画
- 端末未承認→EMM登録や証明書配布→承認後に同期が開始
Family Link管理下での年齢制限と前提
Family Linkで管理される子ども用アカウントは、保護者の設定が前提になります。新端末でのサインイン時に保護者の承認が必要になったり、アプリのインストールや課金、位置情報、画面時間、コンテンツの年齢レーティングなどが制限されます。
乗り換え前に、保護者側の端末で承認方法を確認し、当日に承認できるよう時間と通信環境をそろえるとスムーズです。
アプリやゲームの引き継ぎは、提供元の年齢ポリシーや連携方式に左右されるため、事前に公式手順を確認します。購入や定期購入は、支払い方法やファミリー設定の影響を受けることがあり、保護者の管理画面で再設定が必要な場合があります。
アカウントが地域の年齢に達した後も、監督の解除や移行には保護者の操作が求められることが多く、無断での解除はできません。端末紛失・故障に備え、バックアップコードや代替の二段階認証手段も用意しておくと安心です。
【引き継ぎ前の準備】
- 保護者承認のルート→当日の承認者と時間を事前に調整
- アプリの年齢・連携方式→公式手順と必要情報を確認
- 支払い・ファミリー設定→定期購入の引き継ぎ要否を確認
- 認証の代替手段→バックアップコードや別端末での承認を準備
- 新端末の初期設定前に保護者端末を手元に用意→即承認で待ち時間を短縮
- アプリは“必要最低限から”再導入→承認の手間とエラーを回避
- 学習・連絡など重要アプリは先にテスト→通知と権限を確認
高度な保護プログラム適用時の前提条件
高度な保護プログラムは、標的型攻撃からアカウントを守るための強固な仕組みです。登録中は、サインインや新端末の登録にセキュリティキーやパスキーなどの強い本人確認が必須となり、第三者アプリからのアクセスは厳しく制限されます。
メールアプリやファイル連携などは、対応する安全な方式に限られ、従来の“簡易な連携”が使えない場合があります。端末乗り換え前に、少なくとも二つ以上の認証手段(予備キーや別デバイスのパスキー)を準備し、動作確認を済ませておくと、紛失や故障の際も復旧しやすくなります。
バックアップコードは非常時の“合鍵”として、オフラインで安全に保管します。回復手続きは通常より厳格で、確認に時間がかかることがあるため、業務や旅行の直前ではなく、余裕のある日程で移行するのが得策です。
サードパーティ連携が必要な場合は、事前に対応状況を確認し、必要ならばWeb版や公式アプリへの切り替えを検討してください。
【準備と運用のポイント】
- 認証手段を複数用意→予備キー・別端末・バックアップコードを準備
- 連携は安全な方式へ→非対応アプリはWeb版や公式アプリに切り替え
- 移行は余裕のある日程→復旧や承認に時間がかかる前提で計画
まとめ
引き継ぎは“統合”ではなく“サービス別の移行”。端末乗り換えはバックアップ→復元を基本に、2段階認証・Authenticatorは事前準備で詰まりを回避。
写真や連絡先などは適切な方法を選択。WorkspaceやFamily Linkは管理ルールを確認。迷いを減らし、安全に移行。